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アストロロジカル・サイン

TW2、シルバーレインのPC『終日魁斗』『神代結城』『白夜ほのか』『終日揺光』のブログ兼SS置き場。

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【ほのかの話】蒼、何処へ






 ――魁斗が負けて帰ってきた。

 私が知っている中では初めて、負けて帰ってきた。

 ……落ち込んでいた、いや。多分、自分が許せないんだろうと思う。

 何か気の効いた言葉くらい言ってあげればよかったのに、できなかった。

 唯一相談できそうな相手の結城君は、死んだように眠っている。







 ベッドに身を投げる。私の体はスプリングに押し返されて、跳ねる。

 別に負け戦なんて気にする事じゃない、と思う。

 いや、確かに戦う以上負けちゃいけないんだけど、でも勝負である以上いつか必ず敗北は訪れる。

 魁斗は、負けまいとして戦いすぎたんだ。負ける覚悟をしていなかった。

「……いや、違うんだろうなぁ……」

 魁斗はそもそも、私たちとは前提が違う。

 誰かの為に戦う以上、魁斗に負けという結果はありえないんだと思う。

 誰かを救い出すことに、失敗は許されないと。

 そんな魁斗だから、今ああして自己嫌悪に陥っているんだと思う。

「……私」

 夜中まで魁斗のことを待っていた私は、やっぱり魁斗に惚れているんだろうか。

 けれど、今の私は……昔ほど魁斗に惹かれていない、気がする。

「……同類、相憐れむ」

 魁斗はいつかそう言っていた。

 そうなのだろうか。今までの私の想いは恋ではなく親近感?

「……そんな、こと」

 冬の頃、あの事件まで……私は彼の事ばかり考えていた。

 今まで一度も出会った事の無かった、生粋の人災。抑えられない衝動を抱えた仲間。

 偶然助けられた先で偶然出会って……なんてことがあれば気にしてしまうのは当然、なのかもしれない。

 思い出したくもないあの事件のとき。

 死にかけた私は、彼に吸血を迫った。彼は悲愴な顔で受け入れて。

 そのときの私は、いったい何を想って身を捧げたっけ……?
――忘れないで
 身勝手で、彼を苦しめるだけの感情だった。
――貴方の腕の中の、壊れた私を
 もっと、ずっと澱んだ、
――貴方も、いつかこうなる
「――ぅ」

 頭痛がする。

 ……いつもだったらここで考えない事にするのに、私はそれでも考える事にした。

 そして、誰一人寄り付かない廃墟の奥の路地の裏。

 緩慢に死を迎えた私は、しかし肉体の凌駕をもって命を繋いだ。

 そのとき。

 私の心にあった感情は? 私を生かした強い感情は一体?

 本当に、帰りたいだなんて感情だけだったの?
――私は、彼から
 もっと異質で、捻じ曲がったもののハズ。
――大切なものを
 普段の私では考えられないようなもののはず。
――奪われたものを取り返さなきゃ
「……ぁ、ぅ」

 違う、と声に出したはずだったのに。

 ノドは上手く動かなくて、掠れた音しか出てこなかった。

 そして、極めつけ。

 考えちゃダメだ、と私の中の何かが言っているのに、私の頭は止まらずに記憶を掘り起こしていく。

 銀誓館に来て、IGCを手に入れて、

 いや、従属種になって、殺戮衝動を失ってから。

 私の思いは、薄れてきているんではなかろうか――

「――ち、がう」

 視界がぐにゃりと歪む。

 胸が詰まって、苦しくて、死にそう。

「ちがう、ちがう、違う、違う違う違う! 違うの! そんなのじゃない! 好きなの! 愛してるの! 私は、魁斗を」

 必死に、かれそうな声で否定する。

 けど、その必死さが答えなんだと、私は知っていた。

「違う、ちがう……私は、わたしは」


 ――そう、私は。

 ただ、愛しているという状況にいたかっただけ。


 恋していれば楽だった。どうにもならないもやもやの全ては彼に預けていられるし、耐えられない衝動だって彼を見ていれば忘れられる。

 そう、私は逃げたかった。

 耐えられない自分から目を逸らして、想い人というモノを自分の中に捏造して、それに思いの丈を、それこそ清濁合わせてぶつけていれば心は軽い。

 誰かを愛せているということそれだけが免罪符。

 だから、私は。

 自分を直視することに疲れたから、他人を看視することで逃げていただけ――


「――――――――」

 頭の中が真っ白になっていく。

 発狂しそうだ。

 心は既にからっぽ。気付いてしまえば、それで終わりだったのに。

 考えれば、これほどまでに単純で単調。

 つまらない現実逃避が、私の恋だった。

 逃げなくてもよかったから、私の恋は冷めている。

 嗚呼、なんてつまらない。

 ……魁斗は気付いていたのかもしれない。こんな私に。

 空虚すぎて、痛い。

 涙なんて出ない。ただ、大事な何かがすっぽりと抜け落ちた感覚。

 枕に顔をうずめて、蓑虫のように布団に包まって、目を閉じた。

 いつか、逃げずに向き合う努力をしなきゃいけない。

 けど、今だけは。

 今だけは、全部投げ捨てて、眠りに落ちよう。
















































































  * * * 



 魁斗、結城、ときたのでほのか編。

 途中で面倒になってお蔵入りになった皆既日食SSを一部改変して引用した。

 まぁ、季節モノは旬を過ぎたらおしまいですし。

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